岩手の風景を、晴れ着姿で
アーズローカスの下鴨基金では、毎月岩手県山田町へ育英基金をお送りしています。
その事務局を担当されている岩手県立立山田病院の今泉先生は毎月お手紙をくださいます。(受付横に貼っています。)
今回、そのお手紙と一緒に、一冊の本を送ってくださいました。
「いわて四季彩々」
この本は、以前今泉先生が送ってくださった「いわて旬華愁凍」の続編です。
震災前の岩手県の四季折々のきれいな風景写真が撮られています。
一瞬猛威を振るった海もとってもきれい…。大事なものを語っている気がします。
皆さんにも見ていただきたいのでご紹介をさせていただきます。
まえがき、あとがきの一部を抜粋して引用させていただきます。
岩手県の自然風景を撮影しはじめて、今年で10年を迎える。…
明けぬ夜はないー。震災当時は、助ける人も、助けられる人も、そのことばを
信じて頑張ったはずである。しかし、その夜はなんと長いことだろう。
一年目は、被災地のガレキ…を片付けること、またその処理をすることに費やされた。
二年目は、港湾の建設や漁業の再開など、海辺の営みに変化が見られた。
けれども、住宅地はサラ地のままで、雑草がぼうぼうと生い茂っていた。
三年目は、仮設住宅から自宅や移転先に戻れる人が出てきてもいいはずだった。
けれども、困ったことに、仮設は事実上の「常設」となったままである。
この間、被災した人々のあいだで、故郷の記憶が失われようといしている。
海辺に残った人も、後にした人も、昔の風景をもはや思い出せないという。
震災後の三陸を走ると、カーナビが今はなき施設をむなしく映し出した。
だが、その場の風景が思い出せない。その悔しさが、この写真集を出す原動力となった。
…自然は厳しくも美しい。さればこそ、いにしえの人々は三陸を住処としたのである。自然の恐ろしさを忘れてはならないが、その恩恵を受けていることも再認識したい。…
この本を手に取って…
きれいな風景、ただきれいなだけではない風景、心がざわざわする。
それでも思い込み、偏りよりも、岩手の素晴らしさを綴った写真と筆者の言葉を丁寧に見ていきたい気持ちです。
アーズローカスの受付横に置いていますので、お立ち寄りの際にどうぞご覧ください。
佐加恵 記